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3-7 会津若松でのアクセンチュアの取組 – 地方都市とSmart City #2

地方都市のsustainabilityを上げる具体的な取り組みとして、アクセンチュアの会津若松での取組を紹介します。重要なStakeholdersを巻込むための仕組みづくりが興味深いです。

1:05 前回の振り返り、5:17 会津若松でのスマートシティ計画の構造、9:02 具体的な取り組み、12:08 会津若松+、23:09 デジタルDestination Management Organization、28:32 IoTヘルスケアプラットフォームプロジェクト

参考文献:海老原城一、中村彰二朗(アクセンチュア)、Smart City 5.0 地方創生を加速する都市OS、https://www.amazon.co.jp/dp/4295006149/

前回の振り返り

  • アクセンチュアが地方都市の課題に取り組む。2011年から会津若松でSmartCityの実装に取り組む
  • アクセンチュアのSolution
    • 首都圏の高付加価値機能を地方移転
    • 次世代を担う新産業を地方で育成
  • アクセンチュアの戦略
    • 「自分ゴト」 => Opt-inを採用
    • 会津若松の以下の資産を最大限に生かす:上質な水資源、会津藩の歴史遺産、ICT専門大学、充実した医療環境、複数ルートのアクセス環境
    • 「スマートシティ化戦略」としてまとめあげて実装

会津若松でのスマートシティ計画の構造

  • 「オープンイノベーション」=市民参加、収集したデータを誰でも使える(要承認)
  • デジタル・コミュニケーション・プラットフォームとデータプラットフォームで構成される。
    • 市民の参加を促すため、デジタル・コミュニケーション・プラットフォームを導入。engagementを高める効果を狙っている。市民だけでなく、観光客、移住者、また事業者が関係する。
    • データプラットフォーム(産官学)
    • => データアクセスのAPIを公開、蓄積されたデータは申請が承認されれば誰でも使える。

具体的な取り組み

  • 会津若松+(プラス):市民向け
  • デジタルDestination Management Organization:観光客向け
  • IoTヘルスケアプラットフォームプロジェクト:市民、医者+企業、官を含めた仕組み

会津若松+(プラス):市民向け

  • 従来の紙媒体やタウンミーティングから、よりパーソナライズされた地域ポータルを提供。キャッチフレーズは「各市民の生活に合わせた「10分圏内」の情報が手に入るサービス」
  • 市民の日常活動を考慮して、コンテンツが8分野に分類されている:エネルギー、観光、健康医療、教育、農業、ものづくり、金融、移動手段。「ご近所の今日のチラシ」なども確認できる。
  • KPIとして市民参加率を設定、30%を目標としている。
    • キャズム理論でのマジョリティに食い込む値であり、拡散効果が期待できる値。
    • 国勢調査をインターネット経由で回答した比率が30.8%であることから実現可能性があると分析。
    • 実際20%超えたところで自然増加しており、キャズム理論と整合的。キャズム理論では、アーリーアダプター層を取り込んだ時点(15-20%)で口コミによる情報拡散効果が期待できると言われている。
  • 官側のメリットとして、市政だよりほか紙媒体、Webほかのコミュニケーションコストが30-40%削減できた。

デジタルDestination Management Organization:観光客、とくにインバウンド向け

  • デジタルプロモーション
    • ターゲットは複数回日本を訪問する外国人、特に東京、京都はすでに行ったことがある人。
    • コンテンツは各国の国民の嗜好にあわせる。例えば、中国人は馬刺し食べないので会津で有名な馬刺しを勧めても意味がない、台湾人は雪好きだがスキーできないので雪遊び・トレッキングを勧めるのがよい、など。
    • 情報発信を各国のインフルエンサーに任せる。
  • デジタルトラベルサポート
    • 居住地、嗜好に合わせた提案
    • 二次交通まで考慮した旅行プラン提案
    • 魅力を伝える深いシナリオコンテンツ
    • 多言語対応、コメント
  • データアナリティクス

IoTヘルスケアプラットフォームプロジェクト:市民+医者+企業、官含めた仕組み

  • 市民、官にとって医療費が削減できる、企業にとっては医療テックが加速できる、という複数のメリットがある仕組み。
  • コンソーシアムを組んでおり、ヘルスケア企業が多数加入。
  • 健康管理、予防、検診半ばぐらいまでをターゲットとしている。未病産業。診察はターゲット外。例えば健康の見える化をするためのウェアラブル端末の開発等。
  • 参考事例:メディコンバレー@デンマーク、スウェーデン
    • 電子医療情報の収集・蓄積、分析・活用
    • 12の大学、32の病院、300以上の民間企業が集積、両国のGDPの20%を創出しているともいわれる
    • 出生直後にマイナンバー付与、DNA採取、医療データを生涯一元管理

小さく始めて大きく育てるプロセス

  • 市民参加がキーと認識しており、参加する心理的ハードルを下げるアクションを多数実施。例えばメニューを増やして関心事にささるようにするなど、間口を広げている。
  • 市民のニーズに合うものを提供するための産官学民連携が重要。Big-Tech主導、デベロッパー主導のどちらでもない、協議会+コンソーシアムという構成をとっている。

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