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2-25 間接費の割り振りが生死を分ける – 意思決定者のための会計情報 #2

原価計算では間接費の割り振りが重要となります。これを間違えると、本来黒字であるはずの生産ラインを止めてしまう意思決定をしてしまいかねません。Show notesを見ながら(時に計算しながら)聴いていただくとより一層理解が深まるかと思います。

0:25 間接費の重要性、4:04 コストの内訳、7:10 ケーススタディ:バーガーショップ、11:40 伝統的コストモデル、15:15 Death Spiral、17:59 間違いの原因、22:50 最新のコストモデル:時間駆動型活動原価計算 TD-ABC、30:55 注力すべき領域

Learning Objectives:

  • 売上個数などsales driverで間接費を割り振ってはいけない!Death Spiralに陥る。間接費にかかっている労働時間やキャパシティといったcost driverで間接費を割り振るべし。
  • 時間駆動型活動原価計算(Time-Driven Activity-Based Costing system, TD-ABC)は導入・維持に時間とコストがかかるため、複雑性が高い、また高い間接費がかかっている領域に注力すべし。

間接費の重要性

  • 項目が決まっている財務会計と異なり、管理会計は各会社でフォーマットが違う。なぜなら会社内のお金の流れの捉え方、勘所などが会社(業種)によって違うため。
  • 事業は収益よりもコストが高いと継続性が無い。したがってコスト(原価)の計算を見誤ると正しい意思決定ができない。
  • 製品一つ当たりの原価計算では、間接費の割り振りが重要。さてどう割り振る?

コストの内訳

  • コスト(原価)=直接費+間接費
  • Cost object:製品、サービス、部門、地域、消費者タイプ、など
  • 直接費:cost objectでトレース可能
  • 間接費:cost objectでトレースできないもの。複数に跨って使用しているもの。
    例:オフィス、複数ラインを抱える向上の電気代。

ケーススタディ:バーガーショップ

※以下データは仮想であり現実のデータを反映したものではありません。

コーヒーバーガー
売上個数 / 1日100個50個
値段 / 個150円450円
材料費 / 個50円100円
直接労働時間 / 個
(DLH: Direct Labor Cost)
0.05時間0.1時間
総直接労働時間 / 1日5時間5時間
  • 直接労働費:1,000円 / 時間
  • 間接費:15,000円 / 日

この間接費をどう割り振るか?

※この店は2,500円の黒字

伝統的コストモデル:間接費を総直接労働時間で割り振ってみる

コーヒーバーガー
売上個数 / 1日100個50個
値段 / 個150円450円
材料費 / 個50円100円
直接労働費 / 個
(1,000円 * DHL)
50円100円
間接労働費 / 個
(1,500円 * DHL)
75円150円
利益-25円+100円
  • 間接費:15,000円 / 日
  • 総直接労働時間:5+5=10時間 / 日

=> 間接費の時間単価:1,500円 / 時間

コーヒーが赤字。。どうする?

赤字のコーヒーを取りやめると・・・Death spiral!

バーガー
売上個数 / 1日50個
値段 / 個450円
材料費 / 個100円
直接労働費 / 個
(1,000円 * DHL)
100円
間接労働費 / 個
(3,000円 * DHL)
300円
利益-50円
  • 間接費:15,000円 / 日
  • 総直接労働時間:5時間 / 日

=> 間接費の時間単価:3,000円 / 時間

この間接費の高騰の結果、バーガーも赤字。。Death Spiral!

元々黒字だったのに。

間違いの原因

  • 間接費をoutput(sales driver)である直接労働時間(売上個数に比例する量)で割り振っていることが間違い。その結果間違った意思決定をしてしまった。
  • 求めたいのは製造原価であり、これは原理的に自社内のリソース使用状況で定まるはず。
  • 上記で間接費を割り振る際に使ったoutput(sales driver、売上やそれに直接関係する直接労働時間)は、自社だけではなくマーケット、競争など自社外の要素も関係する

最新のコストモデル:時間駆動型活動原価計算(Time-Driven Activity-Based Costing system)

※Time-DrivenではなくCapacity-Drivenが正確とのこと。

コーヒーバーガー
売上個数 / 1日100個50個
値段 / 個150円450円
材料費 / 個50円100円
直接労働費 / 個
(1,000円 * DHL)
50円100円
間接費 / 個
(作成可能量から計算)
20円260円?
130円!
利益+30円+120円

間接費15,000円の内訳:

  • コーヒーメーカー 2,000円、100個作成可能 => 20円/個
  • バーガーメーカー 13,000円、100個作成可能 => 130円/個

バーガーの間接費は260円ではなく130円!50個分の余剰リソースがある。

さらに50個売ることができる(+120円の利益で)、と考えることができる。

TD-ABCを適用すべき領域

  • プロセスが多い、共通部品が沢山あるなど、複雑性が高い領域
  • 高い間接費が掛かっている領域

導入、維持に時間とコストがかかるため、上記領域を見極めて適用すべし。

参考

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