経営判断のために必須である会計。コスト計算の部分でEngineerの関与・知見が重宝されます。会計の基本を振り返りつつ、コストモデルと管理会計の手法について話しています。
1:10 Engineerがなぜ会計?、3:28 そもそも会計とは?、8:34 会計の種類、10:35 MIT授業 Accounting Information for Decision Makers、14:12 コストの分類、20:27 コストモデルのkey points、23:49 管理会計の手法
※1.5倍速など早送りで聴かれることをお勧めいたします。
Engineerがなぜ会計?
- ビジネスサイドとの共通言語の一つ。会計はお金の流れを管理することであり、経営の観点で必要不可欠。
- 研究開発、材料調達、製造、販売など会社内の全てのプロセスが対象。特に製造コストの計算は投資判断でとても重要。生産ラインのキャパシティなど、Engineerの知見が必要とされる。
そもそも会計とは?
- お金の流れを管理すること
- 身近な例
- 経費精算→仕分け
- 予算の達成/未達の管理(予実管理)
- Accounting(会計)とFinance(財務)
- Accounting:企業の成績表。現在までの会社のパフォーマンスを分析する。
- Finance:未来の計画を立てる。
会計の種類
- 財務会計:株主など会社外のstakeholdersに対してお金の流れを説明する会計方法。損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書といった財務諸表などを作る。
- 管理会計:会社内で経営状態を把握、経営方針を決定するためにお金の流れを管理する会計方法。決まった形式はなく、会社によってまちまち。
Accounting Information for Decision Makers (MIT授業 Course # 15.521)
- 管理会計が対象。会社内でどのようにお金が流れているかを把握し、それを基にどう経営方針策定、投資判断などの意思決定をすればよいか、をケースベースで学ぶ。
- 投資判断とそのベースとなる企業のパフォーマンス分析はコンサルティングファームで最もよくある依頼の一つ。McKinsey、Boston Consulting Group (BCG) など、有名なコンサルの面接で問われるケースでも良く取り上げられる。
- コンサルに興味ない人に意味あるの?:経営状況把握は事業継続に必須。お高いお金を払ってコンサルに頼む必要がなくなる!
コストの分類
- 操業度との関連による分類:Cost = Fixed cost(固定費)+ Variable cost(変動費)
- Breakeven point(損益分岐点)に達するまでに必要な売り上げ数などを計算するために必要
- Fixed cost:製造量に関わらず発生する費用
- Variable cost:製品一つを作るのに必要な費用
- 製品との関連による分類:Cost = Direct cost + Indirect cost
- Direct cost(直接費):一つの製品・部門・プロジェクト(cost object)でのみ使われている費用。材料、労働費用など。
- Indirect cost(間接費):複数の製品で共有しているもの。オフィスのレンタル費用、電話代、電気代など。
- KeyはIndrect costの配分。研究開発費、経営管理、などコーポレートレベルのものは通常Indirect costに分類
- Key Question:ある製品を一つ作るときの原価はいくら?
コストモデル Costing System のkey points:「現在」の「正確な」データ
- Key points
- 「現在」:モデルが定期的にアップデートされる必要がある
- 「正確な」:経営判断をするために必要な粒度の正確性をもっている
- 正確性とアップデートの頻度がトレードオフ
- 最初のコストモデルの構築には数か月かかる。如何に正確性を上げ、update可能なものにしていくかが重要。
管理会計の手法
- Activity-Based Costing (ABC) system:活動基準原価計算
- 1980年代後半にKaplanが提唱。欧米で多く受け入れられた。
- 2段階でコスト配分を計算
- (1)各プロセスに割いているリソースの割合を計算
- (2)各プロセスが各プロダクトに割いている割合を計算
- 業務が複雑化すると、コストモデルの更新が実務上とても煩雑になり、一度導入したが結局このモデルを使うことを止めてしまう企業も多かった模様。
- Time-Driven Activity-Based Costing (TD-ABC) system:時間駆動型活動基準原価計算
- これが主流。Kaplan and Anderson (2004) が提唱。
- 上記ABCの実務上の困難を回避するため、リソースの使用時間をベースとしてコスト計算を1段階にした。
- リソース全てを割り当てているわけではないので、未使用のリソースが出る。
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