再生可能エネルギー普及がなぜ叫ばれているのか?エネルギーシステムの提供価値を再考し、そのトレードオフと解決策についてお話します。
4:11 発電コストの比較、12:00 外部コスト、16:27 再生可能エネルギーの便益と投資対効果、20:38 エネルギーシステムの提供価値再考、26:30 再生可能エネルギー導入時に重要なトレードオフ、33:10 解決策
※1.5倍速度など早送りで聴かれることをお勧めいたします。
発電コストの比較
- 原子力:10円/kWh (METI 2015)
- 石炭火力:12-13円/kWh (METI 2015)
- 陸上風力:22円/kWh (METI 2015)
- 太陽光:24-25円/kWh (METI 2015) -> 15円/kWh (自然エネルギー財団、2019)
- 洋上風力 -> 2030-35年までに8-9円/kWhを目指す
外部コスト(隠れたコスト):もう一つのコスト
- エネルギーシステムが直接便益をもたらす相手以外に及ぼすネガティブな影響のこと。
- EUが健康被害や生態系への影響・気候変動を金額換算したものを提供している。
- 参考:External Costs, European Commission, 2006
再生可能エネルギーの便益(benefit)
- 電力の提供
- 化石燃料使用量削減、温室効果額の削減 -> 健康被害の抑制、気候変動の緩和
- 資源輸入依存度の低減
- 雇用創出
再生可能エネルギーの投資対効果
- 投資2900億ドル/yearに対し便益は1.2兆ドル-4.2兆ドル/year(国際再生可能エネルギー機関 2016、下記図)
- 投資より便益が多いのに、なぜ投資が急速に進まない?なにが再生可能エネルギーの普及を妨げているのか?
エネルギーシステムの提供価値再考
提供価値定義の国際比較:EU、USは経済性への言及がある
- 日本:kWh(Energy)、kW(Capacity)、ΔkW(Flexibility)
- EU:Flexibility、Availability、Reliability and Quality、Profitability
- US:Availability、Reliability、Economy、Efficiency、Organic interaction with the environment、Safety
再生可能エネルギー導入時に重要なトレードオフ
- 安定性が重要!
- 電力システムは需要=供給の維持が肝要。維持できないと周波数が変動、不安定になりブラックアウトしてしまう。
- 具体的な事例
- 九州:日中に発電過剰、揚水蓄電も使い果たし、発電を中止する事態に。
- カリフォルニア:太陽光発電の導入に伴う電力需要カーブの大きな変化。日中に必要な電力は自家発電で賄えるが、日没と帰宅時間が重なる夕方あたりに需要の鋭いピークが来るようになった。
解決策
- 技術
- 供給(発電)側:蓄電技術
- 需要(消費)側
- Demand-Response技術
- 需要を日中にシフトさせる技術。熱への変換、例えば電気温水器や小売り蓄熱空調システム
- 市場
- 容量市場:余剰電力売買だけでなく、需要調整の依頼(インセンティブ)なども含まれる。
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